そろそろ紅葉真っ盛り。
さて、いつ見に行くか。
と言っても、予定を立てるほどでもない。
千葉県内の養老渓谷を見に行くだけだ。
問題は愚妻の体調。
抗ガン剤を投与すると、一週間ほどは体調が悪いらしく、日中はソファで眠っている。
本日で投与3日目。
「紅葉はどうする?」
「ウーン」
横になったまま、気乗りしない声で返事する。
「紅葉を見たあと、館山に下りて刺身も食べに行きたいな」
「そうねぇ」
上体を起こし、少し元気が出てくる。
「イカ刺し、うまいだろうなァ。揚がっていればいいなァ」
「問い合わせてみようかしら」
かなり元気が出てきた次第。
励ましとみせかけないで励まし、不安を煽らずして不安にする。
すなわち、人の気持ちを動かす基本は、
「誘い水にあり」
そこに気づかない人は、ダイレクトに説得しようとする。
だから、うまくいかないのだ。
私はこうして愚妻の反応から「人間学」を学ぶのである。