歳時記

アメ横のにぎわい

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先日の日曜日、所用で神田に出かけた。
土地勘のない場所は、クルマではなく電車で行く。
駐車場を探すのが面倒であるからだ。

ナビに従えばいいことはわかっているが、台数の少ない駐車場はたいてい狭い。
そのため、前を見たり後ろを見たり、キョロキョロしなければならない。
それが嫌いなのだ。

いちいち背後を見るのが面倒で、これまで3度、バックしていてクルマの後部をぶつけた。
電柱、ガードレール、そして駐車中のクルマ。

ガツンと音がして、
「ちょっと、ぶつかったわよ!」
愚妻の金切り声。

「おまえが、ちゃんと後ろを見ていないからだ」
「運転しているのはあなたでしょ!」

そんなやりとりがあったものだ。

ついでに言えば、一時停止して通りに出るときなど、私が右方向を見つつ、
「左」
愚妻に命じ、
「大丈夫」
そんな具合で、私は左を見ることなく発車するのである。

で、日曜日。

約束の時間まで早かったので、上野で電車を降り、アメ横に行ってみた。
何年も行っていないので、社会見学である。

そしたら、どうだ。
小さな居酒屋がそれぞれ通りに席を張り出しているのだが、どこもアジア系のグループ客で満席になっている。

通りを歩く人もそうだ。
まるでアジアの異国に来た雰囲気なのである。

これが国際化というやつなのか。
生命力に乏しい私は、国際化のなかで暮らすのは無理かもしれない。
そんなことを思った。

いま官民あげて、海外観光客の誘致を叫んでいる。

経済活動には必要なことなのだろうし、外国の方々に日本に来ていただくのは結構なことだと思う。

しかし、70歳を過ぎた私には、こうした「観光熱気」はたくさんだ。
行くなら、外国人の来ない山間の温泉地がいいだろう。
そう思ったら、田舎はいまや外国人観光客に人気だというテレビニュース。

もう行くところがない。
愚妻に言うと、
「だから近所の日帰り温泉がいいのよ」

なるほど。
幸せは近きにありということか。

それにしても、日本はどこに向かっているのだろう。
観光立国でなければならないのか。
外国人観光客に媚びを売ってまで気に入ってもらわなければならないのか。
いろいろ考えさせられたアメ横のにぎわいであった。

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