歳時記

和顔愛語

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居間に、墨痕の張り紙をした。

『和顔愛語』(わげんあいご)だ。

経典『無量寿経』に出てくる言葉で、
「なごやかな顔と、やさしい言葉で周囲に接する」
といった意味である。

財貨がなくてもできるお布施に『無財の七施』があり、この中の二番目に、にこやかな表情で人に接する「和顔悦色施(わげんえつじきせ)」、三番目にやさしい言葉で接する「言辞施(ごんじせ)」がある。

笑顔と、やさしい言葉。
人間関係の基本であり、ことに我が夫婦にはこれが決定的に欠落しているのではないか。

そう思い、『和顔愛語』の張り紙をした次第。

同様の意味をあらわす『春風接人 秋霜自粛』という佐藤一斎の言葉を以前、このブログでご紹介したが、漢字8文字は愚妻には難解のようでスルーされてしまった。
そこで今回、字面がわかりやすい4文字としたのである。

先程も、
「ちょっと、どうして脱ぎ散らかすのよ!」

入浴前、愚妻が柳眉を立てたので、私は無言で『和顔愛語』の張り紙を指してさとす。

「笑顔だぞ、やさしい言葉だぞ」

ところが、火に油。
「自分に言い聞かせなさいよ!」

度し難いものである。

人を見て法を説けと言ったお釈迦さんは、なるほど正しいと改めて思いつつ、いま唐突に一句できた。
『法を説く 唇寒き コロナの夜』

 

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