歳時記

往路と復路

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相変わらず、葬祭ホールで式場から導師控室にもどるときに迷っている。
退堂は当然、入堂するときと逆になるわけだが、逆になると私は方向がこんがらがってしまうのだ。

「あっ、こっちらです!」
式場の係りの女性があわてて教えてくれる。

納骨など、墓地でもそうだ。
霊園内の道路に駐車し、施主に案内されて墓前でお勤め終え、さてクルマに戻ろうとすると、
(あれ? どっちだっけ?)

迷っているのはみっともないので歩き出すと、
「あっ、こっちです!」
逆方向に行ってしまい、施主があわてて教えてくれる。

こんなことがよくあるのだ。

カーナビがない時代、初めての道は適当に走ってもドンピシャリと目的地に到着するが、何度か走った道は迷ってしまう。
入堂と退堂で迷う、あの感覚なのである。

愚妻が私を送り出すとき、必ずこう言う。
「間違わないでよ」
「何を間違うのだ」
「あなたの場合は何でもかんでも間違うから、そう言っておけばいいのよ」
大雑把なことを言うのだ。

人生の折り返し地点はとっくに過ぎ、いま「人生の復路」をひた走っている。
往路と復路。
逆方向である。
「ひょっとして道を間違えているんじゃないか?」

実のところ、そんな思いが時折よぎるのだ。

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