着物をコートに仕立て直すことにした。
房総・御宿の古民家レストラン『愚為庵』の女将さんが持っていて、とてもグッドなのだ。
法衣の上に着るとちょうどいい。
前にも書いたが、葬儀など坊主が開式に遅れると大変なので、早めに行って斎場近くのファミレスやマクドナルドで時間調整するのだが、法衣で店に入ると目立つ。
それで羽織を改造して法衣の上から着ている。
そんな話を女将さんにすると、
「こんなのはどうかしら」
と、着物をコートに仕立て直したものを見せてくれたのである。
羽織同様、着物だから袂(たもと)があるので、法衣のコートにちょうどいい。
しかも、かさばらない。
派手さもない。
変わっていて、カッコもいい。
それで、仕立て直しをしてくれる店を紹介してもらった。
これがもし、私が勝手に決めたことであれば愚妻はブーブー言うところだが、女将さんにコートを見せてもらったとき、
「あら、素敵」
と言ったのである。
それで話が弾み、トントンと進んだ次第。
菅官房長官の総裁選出馬と、私の着物の仕立て直しを一緒にするのは申しわけないが、物事を進める場合、相手や周囲を巻き込み、自分が押し出されるような形にするのは鉄則なのである。
仕立て直しの店まで、我が家からクルマで2時間ほどかかる。
それでも愚妻は文句を言わない。
店に電話し、段取りも自分でつけている。
これが私の発案であったら、間違いなくひと悶着起こっているはずだ。
何事も手順が大事なのだと、あらためて思うことである。