歳時記

寛容で生きる

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道場の仕事部屋で書き物をしていると、愚妻がラインの電話で、
「東京都の感染者は今日は463人だって。毎日、過去最多だから、もう驚かないわね」
それだけ言って電話を切った。

ヒマ人はこうして忙しい人間の時間を奪うのだ。

会話時間は何秒もないが、たった何秒のおかげで意識が散り、これが結局、大きなロスになっていくのだ。

愚妻に教わるまでもなく、速報値はネットのニュースで出るので私も知ってはいるが、知っていると言ったのでは愚妻も張り合いがないだろうから、
「ほう、そうか!」
一応は驚いてみせた。

なぜなら、これから私は寛容を旨として生き、亡くなったときに、
「ホトケさまのような人だった」
と言われるような人間になろうと決心したからだ。

昨夜、そのことを愚妻に告げると、
「バカみたい。わがまま放題生きていて、そんなこと言ってくれる人なんか、いるわけないでしょ」

憎まれ口を叩いたが、寛容な私は笑顔で聞き流したのである。

そして、コロナ感染463人の電話にも、
「ほう、そうか!」
と驚いてみせた。

だが、このぶんだと、刻一刻とストレスが溜まってきそうな予感がするのだ。

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