歳時記

風情というストレス

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昨日は、仏間の移動をした。
午前中は日帰り温泉へ行き、そのあとが片付けで、昼から夜の9寺までかかった。

疲れた。
例によって、左脇から腰にかけて筋が痛みだす。

「歳なんだから、あっちこっち痛みが出てくるのよ」
愚妻が毒づく。

毒づきの真意は、痛みのことでも歳のことでもない。
「私はこれまで一人で片付けを頑張ってきた」
という言外のアピールなのである。

私もそこは先刻承知。
「おまえの苦労がよくわかったぞ」
しっかりとねぎらい、喜ばせておいて、
「あとはまかせた」

それでも疲れた。
腰も痛い。
そんなわけで、今朝はザーザー降りの雨だが、日帰り温泉に出かけた。
愚妻は台風だって行く女だから、もちろん異論はない。

タオルを頭に乗せて、露天風呂に浸かる。
雨が顔にかかって鬱陶しいが、これはこれで風情がある。
私はすっかり気をよくし、湯船に他足を伸ばして原稿の書き出しに妙想の飛来を待った。

ところが、風情がありすぎるのだ。
間断なく雨が顔に当たったのではイラついてしまう。
妙想どころか、ちっとも仕事にならなかった。

かくして昨日の疲れに加え、今日は朝のこの「風情ストレス」が尾を引いて調子がでない。

たまには夕刻早々、本でも読みながら寝ようと思ったら、愚妻の後片づけを慰労するため、晩飯を食べに行く約束をしていた。

中止にしたら、えらいことになる。
しょうがない。
もうちょっと仕事をするか。

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