歳時記

久しぶりの電車

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昨日、打ち合わせがあり、久しぶりに都内に出た。
いつもはクルマだが、東京アラートが出ているので、あまのじゃくの私は電車で行くことにした。

「電車の吊革には触らないのよ。あなたは考えがないんだから」
愚妻が玄関先で口を酸っぱくして言ったが、駅に着いてハタと気がついた。

マスクを忘れている。

玄関先で何度も注意しながら、愚妻もそのことに気がつかなかったのだろう。
しかも、携帯用消毒液を持たすのも忘れて、ひたすら「吊革」の注意。
愚かの極みである。

叱責しようと、駅から電話すると、
「どうしてマスクを忘れるのよ!」
反対に怒られてしまった。

幸いカバンの中に予備が入っていたからいいようなものの、妙な世の中になったものである。

そして、帰宅すると、愚妻は開口一番。
「吊革、触らなかった?」

言われるまで吊革のことなど、すっかり忘れていた。

「触るわけがないではないか」
そうは言ったが、私をジロリとニラんで、
「その顔、触ったわね」

もうこの次からクルマで出かけることにしよう。

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