歳時記

早朝の日帰り温泉である

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新元号が制定された。
昭和は次第に遠くになりにけり、といったところか。

東京在住の高校同期会の案内が来た。
同期もいよいよ古稀である。
「古来、稀なり」
という意味だが、長寿の時代。
ちっとも稀ではなくなった。

せっかく「令和」の新時代が始まったのだから、生活に変化をもたらせよう。
そう思い、愚妻にくっついて早朝の日帰り温泉に出かけ始めた。
何を始めるにしても、古希を目前にすれば、楽なことに限るのだ。

早朝は食堂で、トーストとゆで卵、コーヒーがサービスでつく。
ノートパソコン持参。
さっさと入浴をすませ、愚妻が出てくるのを待ちながら、2時間ほど仕事するのにちょうどよい。

だが、私はトースターを使ったことがない。
スイッチを入れ、
(確か、焼き上がると勝手にスイッチが切れ、ポンとパンが飛び上がるはずだが)

大昔の記憶をまさぐりつつも、ポンと出てこないで真っ黒に焼けたらどうしようと、いささか不安になる。

じっとトースターをのぞき込んでいると、
「どうかなさいました?」
係の女性が親切に声をかけてくれる。

「焼き上がると、自動的にスイッチが切れるんですよね」
「はい、そうです」
笑顔で答える。

親切なことだ。
あとで愚妻にこのことを言うと、
「ちょっと、恥ずかしいことしないでよね。あなたはパンも焼けないの」
亭主を愚弄する。
新時代も前途多難の予感なのである。

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