歳時記

人生の楽しみ

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私は毎日、所用で外出。
愚妻は毎日、日帰り温泉。
これを楽しみと言うなら、それもよかろう。

では、私にとって楽しみとは何か。

無い。

「わしには楽しみが何一つとして無い」
愚妻に言うと、
「人生そのものが楽しみなんじゃないの」
しれっとして言う。

「バカ者、生きるに必死で、楽しみなどではない」
「イヤなことはやらないでしょう? あなたはワガママだから」
「うん」
「じゃ、人生は楽しみということになるんじゃない?」

いつのまに、こういう話術を身につけたのか。

『最下鈍(さいげどん)の者も、12年を経れば、必ず一験(いっけん)を得る』
とは、天台宗開祖の最澄の言葉で、
「どんなに愚かで才能のない人間であっても、1つのことを12年続けていれば、必ず1つは秀でるものをつかむことができる」
という意味だが、愚妻と一緒になって44年。

なるほど、最下鈍の愚妻も、私と勝負しているうちに少しは成長するはずだと、感心するのである。

今日も私は夕方から所用で都内に出かける。
その前にマッサージに行こう。
今朝も4時に起きて読経。

私は「イヤなことはやらない人間」なのか、それとも「やる以上はイヤにならないのか」。
朝っぱらから、いろんな思いがよぎるのだ。

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