コーヒーを控えることにした。
能登で、塗りの湯呑みを買ったからだ。
湯呑みを買ったからには、日本茶にすべきだと、唐突に思ったに過ぎない。
コーヒーが好きで、一日に10杯以上は飲む。
仕事場では、ネスカフェのナントカという装置にカプセルをハメ込んで煎れるのだが、カプチーノは、コーヒーとミルクとカプセルが2ついるので割高である。
「喫茶店で飲むよりは安い」
と私は言っているのだが、愚妻のご機嫌がよかろうはずがない。
家では、挽いたコーヒー豆を買ってきて、濾紙で抽出する。
この方法も、いろいろ試行錯誤し、基本的には私が煎れる。
愚妻にやらせると、大雑把になってしまうからだ。
だが、お茶は愚妻に煎れさせる。
意味はない。
面倒だからだ。
最初は「おい、お茶!」と言っていたのだが、こんな名前のペットボトル茶があることを思い出した。
製品名を呼ぶのは釈然しないので、
「おい、ブラウン」
と呼ぶことにした。
「何よ、それ?」
「わからんのか。茶色から取って、お茶のことだ」
と、愚妻に説明したところが、
「バカみたい」
フン、と鼻で笑ってから、
「老夫婦は会話がなくなるってテレビでやっていたけど、わが家はくだらないことばっかり言ってるから疲れるわ」
ブツクサ言って、嘆息するのである。
「おい、お茶!」
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