歳時記

今と言ったら今なのだ

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 仕事場も、自宅の自室も、机の前の壁に年間と月間のカレンダーが掛けてある。
 年間を見ると、今年もあと3ヵ月。
 12月は何かと慌ただしいため、年間予定に入れないとすると、今年はあと60日ということになる。
 日曜日の数で言えば、わずかに9回。
 そう考えると、ノンキに惰眠を貪(むさぼ)っているわけにはいくまい。
 ところが、不思議とそういうときに限って、余計な予定を入れてしまう。
 何本が持っている万年筆のうち、お気に入りの2本が、このところしっくりこない。
 で、明日、万年筆の修理店に予約を入れ、ペン先を調整してもらうことにした。
 場所は都内。
 千葉から出かければ、半日がつぶれるだろう。
 
 執筆はパソコン。
 万年筆を使うわけではないので、急いで調整する必要はないのだが、思い立ったらすぐに行動したくなるのが私の悪い性格である。
 だから予定が狂い、時間が足りなくなる。
「この人は、今と言ったら今なんだから」
 とは、結婚以来、愚妻が私に延々と言い続けていることだ。
 だが、道歌に言う。
「今と言うとき今はなし。『ま』の字来たらば、『い』の字過ぎゆく」
 すなわち、「いま」の「ま」を口にしたとき、「い」はすでに過ぎ去っていることから、「間髪を入れず攻めよ」「遅れを取るな」という意味になる。
「明日」という不確かなものを恃(たの)みにしてはならない。
 今と言ったら今なのだ。

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