歳時記

「長距離」を全力疾走

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 徹夜がきかなくなった。
 火曜の明け方に原稿を渡したが、今日まで2日間、脳ミソのキレが悪く、やっと調子がもどってきた。
 執筆はマラソン競争のように見えて、実は短距離走。
 いや、正確に言うと、短距離走のスピートで長距離を走るということだ。
 だから疲れる。
 疲れるが、長距離を全力疾走しなければ、いいタイムは出せない。
「くたびれた」
 と愚妻に言うと、
「忙しい人は睡眠時間4時間なんだって。あなた、もっと寝てるんじゃない?」
 憎まれ口を叩くのだ。
「バカ者! わしは仕事以外の用事が多すぎるのだ」
「勝手にやってるんでしょ」
 そして、
「栄養剤でも飲めば?」
 愛情の欠片(かけら)もない。
 いや、愛情の「本体」がないのだから、「欠片」があるわけがなかろう。
 論理的に考えれば、そういうことになると、納得するのだ。
 いま双葉社の編集長から電話で、『田中角栄 相手の心をつかむ「人たらし」金銭哲学』が三刷りになったとのこと。
 びっくりするような増刷部数を聞いて、にわかに気合いが入る。
 自分のことながら、人間はかくのごとく、現金なのだ。

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