歳時記

窮すれば通ず

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 庭を畑にするのは大儀である。
 私には、とてもそんな時間はない。
 腰も痛くなる。
 アイデアは悪くないが、これは愚妻がやるという前提での話だ。
「わしがやる」
 と思わず口走ってしまったものの、冷静になって考えると、そんなことはやってはいられない。
 さて、どうしたものか。
 人生で直面する壁の8割は「知恵」で解決するというのが私の主義だ。
 あれこれ考えているうちに閃いた。
 プランターだ。
 庭にズラリとプランターを並べればいいではないか。
 きちんとレイアウトすればカッコもいい。
 草も生えない。
 鍬を振るわなくてもいい。
 いいことずくめではないか。
「おい、どうだ」
 愚妻に提案すると、
「地植えのほうがいいんじゃない?」
 浅学非才が異を唱えるので、
「バカ者。ベランダのプランター栽培であっても、立派な野菜がつくれるのだ」
 インターネットで検索したプランター栽培の画像を見せると、
「あら、素敵じゃない」
 コロリである。
 こうなると女はゲンキンなもので、さっそく量販店にプランターの下見に出かけて行った。
 かくして来年は、プランター栽培がわが家のテーマになった次第。
 繰り返すが、人生で直面する壁の8割は「知恵」で解決する。
 これを先人は、「窮すれば通ず」と喝破したのだ。

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