歳時記

孫が、私をうらやむのだ

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 苦労が顔に出ないタイプがいる。
 私がそうだ。
 だから愚妻は、ふた言目には私のことを「極楽トンボ」と批難する。
 これは、ひとえに愚妻の愚かさゆえと思っていたが、いささか違うのではないか、ということに気づいた。
 孫たちは私のことを「館長」と読んでいるが、下の孫(小1女児)が私にこう言ったのだ。
「館長はいいな。風呂に行ったり、ご飯を食べに行ったり、遊んでばっかりで」
 私は衝撃を受けた。
 苦労して原稿を書いているというのに、孫の目には毎日、遊んでいるように見えていたである。
「誤解だ」
 と言おうとしたが、「誤解」なんて言葉は小1には通じまい。
 そこで、
「遊んでいるように見えるかもしれないけど、館長は一所懸命に仕事をしているんだよ」
 と噛んで含めるようにして諭(さと)したが、
「ウソだァ」
 と言って耳を貸さなかった。
 そして、今朝。
 娘(孫の母親)から電話があり、いま健康ランドにいるとのこと。
「館長はお風呂へ行って遊んでばかりいるから、私も行きたい」
 と、孫が朝からゴネたのだという。
 それで台風接近の大雨の中、出かけたのだとか。
 わざわざ私に告げることでもあるまいに、愚妻の血を継いで、さすがウチの娘である。

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