歳時記

玄米をめぐる「神経戦」

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 今日も玄米。
 昨日も玄米。
 一昨日も玄米。
 愚妻は意地になっているのだ。
 もちろん玄米は私だけで、愚妻は白米である。
 そして、私がひと口食べるのを待って、
「おいしい?」
 と、顔をのぞきむようにして訊(き)く。
 今日も訊いたし、昨日も訊いた。
 一昨日も訊いた。
 私の口から「まずい」と言わせたいのである。
 ギブアップさせ、
「ほら見てごらんなさい。あなたが玄米を食べるわけがないんだから」
 そう言って勝ち誇りたいのだ。
 だから私は意地になって、
「うまい!」
 と笑顔を見せる。
 これが愚妻には面白くない。
「あっ、そ。じゃ、玄米でおにぎりをつくっておくから」
 さらに攻勢を強めてくるのだ。
 この勝負には、亭主のメンツがかかっている。
 私は負けるわけにはいかないのだ。

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