歳時記

不信の時代

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「投票前だというのに、ちっとも盛りあがらんな」
 愚妻に言ったら、
「なに言ってるのよ。宣伝カーがうるさいじゃないの」
 と、あきれている。
「あれば宣伝カーじゃなく、選挙カーと言う」
 他所で言って恥をかくといけないので、訂正したところが、
「あれって、候補者の宣伝じゃないの」
 ムキになって反論するので、君子は危うきに近寄らず。
 さっさと風呂に入り、出てからテレビをつけると、政見放送をやっていた。
「あれをやります、これをやります」
 と威勢がいいが、「やりました」と過去形で言う候補者はいない。
 新人候補はともかく、これまで現職だった議員に、
「安心の社会をつくります」
 と未来形で言われたんじゃ、
「おいおい、おまえはこれまで何をやっておったんだ」
 と言いたくなってくるではないか。
 民主党のデタラメで、マニュフェストの信頼は地に落ちた。
 原発事故と、その後の対応のデタラメで、詭弁(きべん)が堂々とまかりとおるようになった。
 笹子トンネルの事故で、検査態勢の杜撰(ずさん)さが露呈した。
 そして、ペラペラと美辞麗句を並べる候補者たち。
 いま日本は「不信の時代」を迎えている。

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