歳時記

おだてりゃ、木に登る

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 日曜日は秦野支部、伊勢原支部の合同稽古で神奈川県へ出かけた。
 館長の私は、もちろん指導する側。
 昨日は雅楽の稽古で、松戸市の天真寺へ出かけた。
 初級レベルの私は、もちろん指導される側。
 そして今朝は、愚妻に首を引かれ、久しぶりに畑へ出かけた。
 行ってみて、驚いた。
 防虫ネットを被した畝(うね)が、いくつもあるではないか。
「これ、おぬしが一人でやったのか?」
 愚妻に問うと、
「他に誰がやるのよ。大変だったんだから」
 ひとしきり苦労話をしてから、
「ちょっと、突っ立ってないで、そこのところ耕しておいてよ」
 すっかり〝畑の主(あるじ)気取り〟なのである。
「バカ者!」
 と本来なら一喝するところだが、私もそんなマヌケではない。
「わかった」
 二つ返事でチョコチョコと耕しつつ、
「これだけの畑を一人でやるとは、見直したぞ」
 ヨイショにヨイショを重ねれば、
「ホントに大変だったんだから」
 夏の太陽にめまいを起こし、残暑の厳しさにヘタリこんだこともあると、再び苦労話をひとくさり。
 だが、その顔はホメられて嬉しそう。
 おだてられて木に登るのはブタに限らないということを、私はこのとき改めて思ったのだった。

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