12月中旬になると、道場にクリスマスツリーを飾る。
始めて10年以上になる。
道場の電気を消し、ツリーの小さな明かりで20分ほど基本稽古をするのだが、これを子供たちが毎年の楽しみにしている。
まさか自分が僧籍を得ることがあろうとは夢にも思わず、子供たちを喜ばせてやりたいという一心で始めたことだ。
子供たちは喜ぶが、私としては心中複雑で、今年はツリーはやめようと思った。
で、一昨日のこと。
小学校低学年の男子が数名、
「館長、ツリーはまだ飾らないの」
と催促してきた。
「今年はなし」
ぶっきらぼうに言うと、
「どうして?」
と、口をとがらせる。
仏教だキリスト教だと説明してもわかるまいと思い、
「館長はサンタが嫌いなのだ」
と不機嫌を装って言うと、
「わかった!」
一人が得意顔で、
「館長はクリスマプレゼントがもらえないから、サンタが嫌いなんだ!」
「そうだ、そうだ」
子供たちが口をそろえて囃し立てたである。
クリスマスも、ツリーも、子供たちには宗教的な意味はなく、文化になっている。
だが、このことは宗教的な意味を持つ以上に怖いことであると思いながら、
(さて、今年はどうしたものか)
と頭を悩ますのだ。
道場のクリスマスツリー
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