「稽古をしろ!」
と怒鳴っても、当然ながら子供たちは言うことをきかない。
ならば、趣向を変えて、説教をしてみようと思い立った。
で、昨夜の稽古。
小学生の茶帯連中に、
「キミたちは、十年一日(いちじつ)の如く、技量が上達しない」
と説教をしたところ、小学4年生の男児が、
「十年一日って何ですか?」
と質問してきた。
これぞ私の思うつぼで、わざと理解不能の慣用句を口にし、興味を喚起し、さらなる説教につなげようというわけである。
「十年一日とは、《長い年月の間、何の変化もなく同じ状態であること》という意味で、キミらのことだ」
と言ったところが、
「ボク、まだ十歳になっていないから、十年たっていないよ」
この一言がキッカケで、
「俺、十一歳」
「ボク、まだ九歳」
「私は十二歳よ」
何だか妙な話になり、
「十年はたとえだ!」
と大声を出したが、誰も耳を貸さず、ワイワイとにぎわいが続いて、私の説教は不発に終わってしまった。
そう言えば、先日は、
「人間は、眼力(めじから)が大事だ」
と話したところ、一人のひょうきん者が、眼をキッと見開いて見せ、道場は爆笑してしまった。
叱ってもだめ、怒鳴ってもだめ、説教もだめ。
人間はやはり、ホメて育てるしかないようである。
子供の指導は難しいものだ
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