歳時記

リアリストのリアクション

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 夜が明けるのが遅くなった。
 5時を廻って、ようやく明るくなる。
 かつては、薄暗いうちに起きると、ストイックな意味でファイトがわいてきたが、最近はその逆で、
「ゆっくり寝てればええがな」
 という気分である。
 で、今朝。
 起きて仕事を始めたが調子が出ず、再びフトンをかぶり、いい気分で寝ていたところが、トントントと槌で叩く音がしてきた。
 屋根である。
 そういえば、屋根の修理に来ると愚妻が言っていたことを思い出した。
 3月11日の地震で、屋根の瓦の一部分がズレているのだ。
 すぐに愚妻が修理を依頼したようだが、順番待ちで5ヶ月後になったというわけである。
 この修理が地震直後であれば、
「やれやれ」
 と、ホッとするのだろうが、5ヶ月後となれば、
「なんだ、いまごろ」
 という気分である。
 何事もタイミングが大事であることを、いまさらながら思った次第。
 寝てもいられないので、もぞもぞとベッドから抜け出し、階下に降りてコーヒーを飲みながらそのことを愚妻に告げると、
「しょうがないでしょう、屋根屋さんだって忙しいんだから」
 例によって、リアリストの返事である。
「私は屋根屋が怠慢だと言っているのではない」
「じゃ、何なのよ」
「何事もタイミングが大事ということを言っておるのだ」
「しょうがないでしょう、屋根屋さんだって忙しいんだから」
 リアリストにかかれば、観念的な話など、たちまち木っ端微塵にされるのだ。

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