「原発は絶対に安全です」
と言って、国も電力会社も原発建設を推進してきた。
「絶対」
と言わなければ、国民の理解が得られないからだ。
だが、今度の原発事故によって、
「物事に絶対はありえない」
という論調をよく目にするようになった。
人間の智慧は不完全なもので、「絶対」などあり得ないと私も思うが、そうすると、「絶対」という言葉は何を意味するのだろうか。
たとえば、
「人間は死ぬ」
と言えば、これは真理であり事実だ。
ところが、
「人間は絶対に死ぬ」
と言ったらどうなるか。
「絶対」はあり得ないのだから、「人間は絶対死ぬ」という言い方は、
「人間は死ぬとは限らない」
という意味になる。
この論理でいけば、
「原発は絶対に安全です」
と「絶対」がくっつけば、
「原発は安全とは限らない」
という意味になる。
「絶対」という言葉のレトリックである。
「絶対」というレトリック
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