『両忘』(りょうぼう)という禅語がある。
「対立する価値観のどちらにも与(くみ)せず自由な心でいよ」
という教えだ。
つまり、
「ことの善悪はすぐに正しい判断が下せるものではないので、曖昧なこともそのまま受け入れ、ただ精一杯に生きてみよ」
ということになるが、ちょっと気取って言えば、
「苦楽、美醜、真偽・・・等々、相対的な対立を忘れ去り、二元的な考え方から脱却せよ」
ということである。
人生は糾える縄のごとく、正解と不正解が絡まり合っていて、ときに是となり、ときに非となり、矛盾のうちに流れていく。
この状態を「人生の不条理」と呼ぶなら、どういう理屈と論理をもってしても、人生を割り切ることはできまい。
だから、
「割り切ろうとするのは愚かなことだ」
と『両忘』は教えるわけです。
要するに、
「どっちゃでもええがな」
という人生観である。
昨日、ススカイツリーの料金が発表された。
第2展望台まで大人3千円である。
両親に小学生2人の家族4人なら8千8百円になる。中学生がいれば1万円を超えてしまう。
「高いわねぇ」
愚妻が怒って、
「そう思わない?」
と問うので、私は答える。
「どっちゃでもええがな」
高いとか安いとか、私は対立する価値観のどちらにも与(くみ)せず自由な心でいるのだ。
「どっちゃでもええがな」の人生観
投稿日: