今日は「端午(たんご)の節句」である。
子供のころ「団子の節句」と聞き間違え、団子は秋の「お月見」と2回あるものと思っていた。
ウソのような本当の話である。
そう言えば、やはり子供のころ、「バスタオル」の「バス」の意味がわからず、幼い頭で考えた結論は、
「バス(BUS)のように大きいタオル」
というもので、後年、「風呂(BATH)」の意味だと知って愕然としたものだ。
バスタオルはともかく、「端午の節句」である。
青空に薫風を孕(はら)んで、鯉のぼりが気持ちよさそうに泳いでいるが、なぜ端午の節句に「鯉のぼり」を上げるか、理由を知っているだろうか。
これは《鯉の滝登り》という立身出世の故事に因(ちな)んでのことで、「鯉のぼり」が登場するのは江戸時代に入ってからで、これは町人のアイデア。
というのも、7歳以下の子供のいる武家では、端午(旧暦5月5日)に幟(のぼり)を立て、吹き流しを上げた。
吹き流しは青・赤・黄・白・黒の五色になっているが、これは中国の五行説に由来し、邪気を払う霊力があるとされている。
だが、吹き流しを上げるのは武家だけの特権で、我が子のすこやかな成長と立身出世を願う親の気持ちは武士も町人も同じでありながら、町人にはそれが許されなかった。
そこで、
「じゃ、〝鯉の滝登り〟はどうだ」
というわけで「鯉のぼり」を上げたのが始まり。
そして明治時代に入り、身分制度の廃止によって武士・町人の区別なく、鯉のぼりはどの家庭でも上げられるようになっていくのである。
住宅事情もあってか、「鯉のぼり」でなく、兜(かぶと)を飾る家庭もある。
これは本来の趣旨と風習からすれば間違いということになるが、わが子のすこやかな成長と立身出世を願う親心には変わりはないだろう。
だが、ものの十年もすれば、すこやかに成長しすぎて、
「誰が生んでくれって頼んだ!」
と悪態をつくようになるのだ。
そんなことを意地悪く思いながら、青空に泳ぐ鯉のぼりを眺めているのである。
「鯉のぼり」を意地悪く眺める
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