今日の午後、大学病院へ薬疹(鎮痛剤アレルギー)の診察に行ってきた。
鎮痛剤を肌に貼り付け、反応を見るパッチテストの予定であったが、
「先日の血液検査で、かなりハッキリ出ていますね」
と、陽性反応が出ている〝鎮痛系統〟について説明してくれ、
「パッチテストをするか、あるいは、とりあえず血液反応の結果でよしとするか、どっちにしますか」
ということだった。
私は「とりあえず」という言葉が大好きなので、とりあえずパッチテストは中止としたが、このときふと、ある考えがよぎり、そのことを医者に問うた。
「先生、これまで鎮痛剤で薬疹が出なかった私が、あるとき突然に出るようになったわけですね。ということは、逆も考えられるのではないでしょうか。つまり、あるとき突然、薬疹が出なくなるとか」
医者はジロリと私の顔を見た。
(この患者、屁理屈を言ってやがる)
とでも思っているのだろう。
「まっ、鎮痛剤を何十年も使わなければ、身体のほうがアレルギー反応を忘れるということはあるでしょうな」
冷ややかな表情で言った。
(なるほど)
と私は思いつつも、
「しかし先生、何十年とおっしゃいますが、私はそこまで生きてられないじゃないですか」
ジョークのつもりで言ったが、医者の立場としては、いわく言い難しで、
「ま、それは」
とかなんとか語尾を濁し、ムニャムニャと返事をした。
医者とのやりとりを、廊下で待つ愚妻に教えたところが、
「ちょっと、あんまりヘンなこと言わないでよ。恥をかくのは、あなただけじゃないんだから」
と、私をニラんだ。
愚妻はバチ当たりゆえ、私が言わんとする真意が汲み取れないのだ。
その真意とは、還暦を過ぎれば、もはや「何十年」という言葉が意味をなさないということなのである。
今年もあと二週間余り。
光陰は矢の如く過ぎ去っていくのだ。
鎮痛剤のアレルギー検査
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