歳時記

焼酎購入で再認識した「夫婦円満」

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 愚妻を伴って量販店に出かけ、来年のカレンンダーやインク、お香などを買い、ついでに焼酎を買おうと酒の売り場に行った。
 我が家で飲むのではなく、人に会う用事があり、お土産にしようと思ったのである。
 ところが、何を買っていいのかわからない。
 ここ数年、酒を飲まないので焼酎の銘柄がわからないのである。
 で、邪道ながら値段で決めることにした。
 いろいろ探していると、小ぶりで四千円のやつがあった。
 量販店で四千円なら、一般小売りはもっと高いはずで、いくらの焼酎なのだろうかと係員を呼んだ。
「これ、フツーの店だと値段はいくらくらいかな?」
「エー、そうですねぇ、二千円くらいでしょうか」
「ナヌ?」
 私は愚妻と顔を見合わして、
「おう、ここはフツーの小売店の2倍の値段で売るのか?」
「ハッ?」
 今度は店員がキョトンとして、
「あのう、これはプレミアムがついた焼酎なんです。ほら、このコーナーはプレミアムと書いてあるじゃないですか」
 なるほど、プレミアムコーナーと書いてある。
 フツーは二千円で売っている焼酎にプレミアムがついて四千円になっているのだということを、このとき理解した。
「あっ、そうか」
 私は笑顔をつくり、
(ケツをまくらなくてよかった)
 と安堵しつつ購入した。
 こうなると不思議なもので、愚妻とのあいだに連帯感が生まれる。
 
 私も勘違い、愚妻も勘違い。
 勘違い同士が、
「プレミアムとは知らなかったなァ」
「ホントよね」
 仲のよい夫婦になるのだ。
『敵国外患(がいかん)無き者は国恒に亡ぶ》
 とは孟子の言葉で、
「競争する国や敵国がなくて外国に攻められる心配もない国は、国全体に緊張を欠き油断を生じてついには国が滅亡する」
 という意味だが、どうやらこれは夫婦にも言えそうだ。
 夫婦にとって「敵」がいれば団結し、「敵」がいなければ緊張感を欠いて倦怠となり、やがてはいがみあうことになる。
 夫婦円満の秘訣は「敵国外患」にあるということを、私はプレミアム焼酎で再認識したのである。

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