首から左肩にかけて、痛みが走る。
じっとしていればいが、顔を動かすと痛むのである。
このことを我が家でアピールすると、即座に反応したのはジイさんである。
「畑を耕してもらおうと思うとったが、無理かのう。これで、わしの畑も終わりじゃ。もう二度と行くこともないじゃろう」
「大丈夫。ちょっと痛いだけだから。あッ、治った」
「ほうか!」
87歳は、実に老獪(ろうかい)なのである。
「ちょっと」
愚妻が口をはさむ。
「バカなこと言ってないで、マッサージへ行って鍼(はり)を打ってもらったら?」
「わしは、鍼は嫌いだ」
「あっ、そ。そのかわり、痛いなんて二度と言わないでよ」
さらに横から12歳の駄犬が、愚妻に賛同するかのようにワンワンと私に吠える。
愚妻と、老獪と、駄犬と、バチ当たり二人と一匹を相手に、私は今日も生きているのだ。
バチ当たり二人と一匹
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