歳時記

ストップウォッチを使う

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 某大学教授をインタビューしたとき、教授がストップウォッチをテーブルにおいて話し始めた。
 時間管理の徹底さに思わず唸り、私もマネをしてみることにした。
 空手競技用のストップウォッチを引っ張り出してきて、
(よし、この原稿は1時間で書き上げる。ヨーイ、スタート!)
 やってみると、確かに作業は早くなる。
 ただし、集中力が増すというのとはちょっと違う。
 ノンキに考えているヒマがなく、〝見切り発車〟で書き始めるから早くなるわけだ。
 たとえて言うなら、飛びこんだレストランで、
「そろそろオーダーストップですが」
 と告げられ、あわてて〝見切り発車〟で注文をする、あの心境と思っていただければいいだろう。
 じっくり考えて書き出そうが、〝見切り発車〟で書き出そうが、原稿の出来映えはさして変わらないようだから、ストップウォッチを重宝している。
 家にいてもストップウォッチを首からぶら下げ、ことあるごとにカチッとスタートのボッチを押す。
 夕食時には、愚妻がご飯を口に運んで、噛み、呑み込むまでの時間までもカチッ、である。
 余計なことまで計測するので、能率がいいはずが、かえって非効率になったような気がしないでもない。
 何ごとにおいても、プラス面には必ずマイナス要素が内在していることに、あらためて気づかされるのである。
  

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