ときおり道場生が、技のことで質問してくる。
それだけ稽古熱心であるということで、大いに結構。
ただし、指導者に「答え」を求める質問が許されるのは中学生までだと私は思っている。
「身体をさばいてからの反撃がどうしても遅くなるんですが、どうしたらいいでしょうか」
「さばいたときに腰が浮くからだ。少し沈めるようにしてみろ」
一例をあげれば、これが中学生の質問と私の回答。
高校生以上になって、こんな甘っちょろい質問をするようではだめで、
「さばいてからの反撃がどうしても遅くなるんです。それで、こういうやり方はどうかと思っているんですが、見ていだけますか?」
と、こうでなければならない。
「回答」を求めるのではなく、「回答」を苦労して探してみて、それが正解であるかどうかを指導者に確認することが、本当の意味で「質問」になるのだ。
疑問をいだくことが成長の糧(かて)になるのは、回答を得るからではない。
回答を求めて苦しみ、試行錯誤するからなのである。
もちろん、このことは空手に限らない。
人生においてもしかり。
「どうすれば、この悩みから解放されるでのでしょうか?」
試行錯誤という努力をせずして、回答だけを求めようとする。
幸せになれるはずがないではないか。
「質問」「回答」そして「人生」
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