朝、歯を磨くたびに、歯磨きチューブのことを考える。
いまのチューブは、どこから押し出しても形状がつぶれないため、最後まで使い切ることができるが、昔は違った。
握りやすい真ん中あたりをグニュと押し出すと、そこがつぶれ、〝お尻〟のほうのヤツは押し出せなくなる。
だから、
「端っこから絞り出すように使え」
と両親によく怒られたような記憶がある。
それから考えれば便利になったものだ。
だが便利になったぶんだけ、「端っこから絞り出す」という〝配慮〟は不要になった。
歯磨きチューブに限らず、世の中、どんどん便利になっていくということは、〝工夫〟や〝配慮〟を不要にしていくということでもあろう。
これが「人間関係」の処し方に影響してはいないだろうか。
歯磨きチューブの真ん中を握ってグニュと押し出すような無神経な人間が多くなってきたような気がする。
朝、歯を磨くたびに、自戒をこめてそんなことを思うのである。
歯磨きチューブ
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