「離活」に取り組む女性が急増しているのだそうだ。
それも熟年世代だけでなく、若い奥さんもそうなのだという。
私は唸った。
離婚はともかく、「離活」に取り組むのが女性であるということに、唸ったのである。
かつて、女性を蔑視した時代、
「女房とタタミは新しいほうがいい」
と、世の亭主族は嘯(うそぶ)いた。
「離活」は亭主がするものだったのである。
ところが、気がついたら大逆転。私など、シロアリに不意をつかれ、倒壊される家屋のような気分になった。
家は倒れたら家でなくなるが、家を倒したシロアリは腹を満たして元気に生きている。
それを思えば、シロアリが「離活」を目論むのは当然かもしれない。
で、今夜。
愚妻と晩メシを食べに出て、それとなくカマをかけてみた。
「長い人生、いろいろあったな」
「そうね。私ばっかり苦労させられたけど」
「おいおい、そう言うなよ。わしも心から感謝しているんだから」
「感謝? 魂胆は何よ」
ワイングラスを手にした愚妻の目がギラリと光ったのである。
どうやら我が夫婦も、力関係は逆転してきたようだ。
女房というシロアリをあなどってはいけない。
気がついたときは時すでに遅く、家はすでに倒壊しているのである。
女房族は「シロアリ」である
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