歳時記

子供に檄を飛ばしてみると……

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 昨日は、佐倉市民空手道大会があり、まる1日、体育館にいた。
 参加選手は幼児から一般まで、市外近隣からの参加もあり、実数で500名を超える大盛況。9コートに分かれて熱戦が繰り広げられた。
 もっとも、私など〝枯れ木も山のにぎわい〟で、特に用もなく、本部席に座って斯界の長老の話し相手をするくらいだったが、それだけにヒマで、午後からは不謹慎にもアクビを噛み殺していた。
 それはさておき、試合前日の土曜日のこと。
 小学生のクラスがマジメに稽古しないので、
「こらッ! 1回戦でコロリと負けたら腕立て伏せ20回だぞ!」
 私が怒鳴ったところが、
「じゃ、館長。いま20回やっとけば、試合のあとでやらなくていい?」
 3年生の女子がニコニコしながら言った。
 私は一瞬、絶句したが、
「いいぞ」
 成り行きでOKしたとろが、
「じゃ、俺も!」
 別の男子が腕立て伏せを始めた。
「じゃ、俺も」
「私も」
「俺、10回だけやっとこ!」
 何人もがワイワイ言いながら腕立て伏せを始めたのである。
 それを眺めながら、私の心中は複雑だった。
 屈託がないというのか、欲がないというのか、私の心を知らずというのか……。
 そんな子供たちも、大会当日は目の色を変えて頑張っていた。優勝した子もいれば、1回戦で敗退した子もいるが、そんな姿を見ていると、技術の巧拙はどうあれ、やはり可愛いものだ。
 さて、明日は稽古。
 1回戦敗退組に何と言ってやろうか、いま考えている。
「腕立て伏せ20回!」
「土曜日にやっています!」
 そんなやりとりが目に見えているだけに、どう切り返してやろうか、あれこれ考えているのだが、名案はいっこうに浮かんではこないのである。

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