歳時記

子供を〝手のひら〟で転がす面白さ

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 毎週火曜日は、夕方5時から10時まで4コマの稽古である。
 5時からは幼児、小1のクラスだが、4時45分には道場へやってくるから、4時30分には着替えてスタンバイしている。
 となると、執筆していても、4時には気が散って落ち着かなくなる。皮肉なもので、稽古時間ギリギリまで書いていると、次第に調子が出できて筆を置けなくなってしまうのである。だから、いまは4時になると、さっさと店仕舞いにかかるというわけだ。
 子供は指導していて面白い。
 何が面白いかというと、言うことをきかないことである。
 きかない子供たちを相手に、怒らずして、どう自分の手のひらで転がすか。ここに面白さを見つけたのである。
 たとえば、みんなの前で一人ずつ型をやらせてみる。
 小学校低学年までは、おだてれば嬉々としてやる。調子に乗せすぎると、何度でもやりたがる。
 高学年や中学女子になると、自意識が出てくるから、
「わたし、やりたくない」
 と言い出す子がいる。
「なんでだ?」
「ヘタだから」
「そんなこと言ってないで、やってみろ」
 と説得したのではダメ。
「いやです」
 ムクれて黙ってしまう。
 だから私は、こんな言い方をしてみるのだ。
「いいか、上手になったからみんなの前で演舞するんじゃないんだ。みんなの前で演舞するから上手になるんだ」
「……」
 そこは子供。
 もっともらしい〝言い回し〟に思考がついていけず、
(そんなもんかしら)
 という顔で、演舞を始めるのである。
 子供の指導には、こんな楽しみと面白さがある。
「もう、親の言うことをきかなくて困ってるんですよ」
 と嘆く親御さんがいるが、これではせっかくの楽しみを放棄しているようなものだ。
 我が子をいかに手のひらで転がすか。
 やってみればわかる。ご亭主を転がすより、はるかにスリリリングで面白いことに気がつくはずである。

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