歳時記

嫌な世の中になってきた

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 私は、安倍首相が嫌いではない。
 なるほど、所信表明だけしておいて政権を放り出したのだから、これは無責任と言われても仕方がない。
 だが、それでも私は彼が憎めない。
 安倍首相は善人なのだ。
 善人ゆえ、寄ってたかって荷物を全部背負わされ、その重みに耐えかねて、ヘタリ込んだのである。
 それを無責任と言うなら、その通りだろう。
 だが、善人に首相が務まらない国が果たして健全なのだろうか。
 青臭いことであると承知しながらも、私はそのことを憂うのである。
 自民党の総裁選がスタートした。
 候補者たちも、長老も、小泉チルドレンも、そして自民党を批判する小沢一郎ら民主党の面々も、みんな〝我田引水〟。勝手なことを言っている。
 そんな彼らに、日本の将来をまかせておいていいのだろうか。
 嫌な世のなかになってきたと、つくづく思う。
 木の葉が沈んで、石が浮く――そんな思いを抱くのだ。

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