歳時記

安部総理を見て思う「好機は一瞬」

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 安倍総理退陣の声が、自民党内で日増しに高くなっている。
 参院選大敗の直後、安部総理は「続投」を明言し、自民党内も「総理が決断された以上、支えて行くのが我々の使命だ」と続投支持の意思表明をしていた。自民党の危機にあって、「一致団結が急務」と浮き足だっていたからである。
 安部総理は、このタイミングで内閣改造に着手すべきだったのだ。そうすれば、人事の思惑もあって、党内は〝安倍新内閣〟に向けて一気に加速したろう。メディアの関心も、参院選大敗の責任論から、安倍新内閣の今後に移っていたはずだ。
 それをなぜ、手をこまねいているのか。
 大敗ショックから数日が経って、党内の気持ちが落ち着いてくると、
「安倍の野郎、大敗しておいて続投とは何事だ」
 という不満がフツフツと湧き起こってくるのは当然なのである。
 なぜ、そこが見抜けないのか。
 おそらく安部総理は、閣僚の失言など人事で火だるまになったことから、新たな閣僚の人選にはじっくり時間をかけたかったのだろう。
 ここが甘いのだ。
 じっくりと人選しているうちに、退陣に追い込まれたとなれば、これ以上のピエロはあるまい。
 すべからく、好機は一瞬なのだ。
 この一瞬を逃せば、好機は二度と訪れることはない。
 チャンスは常に「千載一遇」なのである。
 このことを剣道の古歌は、
《今と言う時、今はなし。「ま」の字来たれば「い」の字過ぎゆく》
 と戒める。
「いま」の「ま」を聞いて行動に移したときは、「い」という言葉はすでに過去のものになっていると言っているのだ。「い」――すなわち一瞬の好機をとらえて打ち込め、と説くのである。
 安部総理は、参院選大敗直後の続投宣言によって、党内が一瞬まとまったときが「い」だったのである。
 ここで打ち込まずして、「ま」の字を聞いて行動に移すようでは、所詮、勝負にはならないというわけである。
 安部総理にかかわらず、我々も同じだ。
 好機は一瞬。
 これをつかまえられるかどうかで、人生勝負は決まるのだ。
 

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