歳時記

葬儀と左腰の激痛

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腰は依然として痛むが、今日のご葬儀は見てくれを考え、頑張ってステッキなしで出かけた。
薬のせいだと思うが、少しフラつく。
クルマの運転はいつも以上に慎重にしたので問題はないのだが、式場の導師控室に入るときドジった。

雪駄を脱ぎ、部屋に入ったところでヨロついたのである。

「あっ!」
「アッ!」

私と、案内する若い女性スタッフと同時に声を上げた。

「大丈夫ですか?」
女性スタッフが手を差しのべてくれる。

「大丈夫。昨日、ギックリ腰のようになってね。薬の副作用でフラつくんですよ」
「いますぐ、お椅子をお持ちします」
「いいよ、いいよ、大丈夫」

笑って見せたが、きっと若い女性スタッフは、年寄り坊主は何とも手がかかると思ったことだろう。

読経は大過なく勤めたが、問題はそのあと。

読経を終え、立ち上がってご本尊に深々と礼拝しようとしたところが、
(痛テテテテ!)
お辞儀すると腰が激しく痛むのである。

これには参った。
このあと出棺、火葬場での読経など、お辞儀の場面はいつくつある。
仕方ないから、お辞儀の場面では揖拝(軽く頭を下げる)とし、丁重に見えるようにゆっくりと時間をかけた次第。

もちろん会葬者の方々は、導師が胸の裡で「痛テテテテ」と叫んでいることを知らない。

人間は心の中が見えず、顔は笑っても、心で泣いている人もいる。
お世辞の裏で、罵声を浴びせているかもしれない。

心の中が見えないらこそ、人間は集団で生きていけるのだろうと、帰途、クルマを運転しながら思ったのである。

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