歳時記

追突事故に遭う

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昨朝、葬儀に向かう途中でのこと。
平日の朝とあって、片側一車線の通りは交通量が多く、信号渋滞でなかなか前に進まなかったが、これは想定内。
時間に余裕を見て自宅を出発しているので、イライラすることもない。

式場近くにマクドナルドがあり、ここでひと息入れてから式場入りの予定である。

と、その時、いきなり背後でガシン。
クルマが小さく揺れた。
バックミラーを見る。
何と、作業用の小さなトラックが追突していたのである。

(なんで?)

数珠つなぎの渋滞で追突するとは、怒るよりも先にあきれてしまった。

道路の脇に空き地があったのでクルマを寄せて降りる。
運転手は職人風で、人のよさそうな年配者。
いきなり衣を着た坊さんがクルマから出てきたので驚いた様子で、
「すみません、すみません」

ひら謝り。
すぐに会社に連絡を取ったとかで、
「いま警察が来ますから」

警察はともかく、
「すぐ来てくれるのかな。これから葬儀があるんだけど」
「ハァ、多分・・・・」
相手も答えようがないだろう。

ほどなく女性警察官がバイクでやって来た。

「免許証と車検証、自賠責の証書を見せてください」
「エッ?」

驚いた。
自慢ではないが、私は車検証や自賠責の証書など見たこともないのだ。

すぐさま愚妻に電話する。

「おい、車検証とか自賠責の証書とか、クルマのどこに入っているんだ?」
「ちょっと、葬儀に向かっているんでしょ? そんなもの何に使うのよ?」

ノンキなことを言う。

「追突されたんだ。いま警察官が来て車検証と・・・・」
「追突? ちょっと、今どこにいるのよ!」
「どこでもいいだろう。それより車検証は・・・・」
「どこでもよくないわよ! 何していたのよ!」

愚かにも、どうでもいいことにこだわる。
警察官の手前、電話で言い合いしたのではカッコ悪いではないか。

「話はあとだ」
小声で言って、
「車検証はどこにあるんだ?」

そんなこんなで時間を食った。
葬儀は開式1時間前に入るのだが、式場に事情を電話し、予定より10分ほどすぎて式場入りした次第。

葬儀を済ませ、夜は通夜。
今日、葬儀をすませてデーラーに行く。

ハッチバックの部分をそっくり取り替えることになった。
相手が保険で支払うので、私の持ち出しはなし。

「で、クルマはいつ持ち込めますか?」
デーラーの担当者が言う。

「さて、いつがいいかな」
私が手帳を見ながら、
「作業は2時間ほど見ておけばいいかな?」

するとデーラーの担当者は絶句して、
「2、3週間かかりますが」

その期間は代車が出るので生活や法務に支障がないとしても、交通事故がいかに面倒なものであるかがよくわかった。
安全運転であるべきだと、自戒した2日間であった。

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