連日、CHAT GPTがニュースで取りあげられている。
初めて使用したときは、なるほどこれは便利だと思った。
「すました顔をしてウソをつく」
と揶揄されてはいるが、質問テーマついて多少の知識があれば問題はないと思っていた。
だが便利に甘え、ついついお手軽に質問するようになる。
調べごとがあり、
「室町時代の庶民の服装について」
と質問すると、
《百姓の着物は、一般的に袖丈が短く、裾丈が膝くらいの長さでした。素材は麻や綿などの植物繊維が使われ、地味な色合いのものが多かったと言われています》
おおなるほどそうか、と感心しつつ、
(これで調べる手間が省ける)
しめしめと思いつつ、文章の続きを見ていると、
《百姓の男性は、袴と呼ばれる、スカートのような形状の下半身を覆う衣服を着用することが一般的でした。袴は腰に紐を結びつけて着用し、太もも辺りまでの丈が一般的でした》
おいおい、袴の着用は武士だろうが。
鵜呑みにして書いたらエライことになってしまう。
ついでに、これも調べごとがあり、
「歎異抄とは何か?」
と質問してみると、
《「歎異抄」は、鎌倉時代に書かれた日本の仏教文献です。その正式な名称は「正法眼蔵随聞記」であり、禅宗の教えや修行に関する対話や講話の要点をまとめたものです》
あるいは、
《禅宗の教えを中心に据える/「歎異抄」は、主に禅宗の教えに基づいています。禅宗は、直感的な悟りの体験を追求する仏教の一派であり、その教えや修行方法が「歎異抄」に反映されています》
おいおい、『歎異抄』と言えば浄土真宗の親鸞の教えであり、教義は禅宗の対極のものではないか。
「すました顔をしてウソをつく」
とはよく言ったものである。
まさに「知らないこと」を質問すると、とんでもないことになってしまう。
ナントカとハサミは使いようと言われてきたが、これからの時代は、
「ナントカとCHAT GPTは使いよう」
ということになるのだろう。
さっそく「使いよう」ということで、単純な質問なら大丈夫だろうと、私が住む佐倉市の日帰り温泉を質問してみると、3カ所が案内された。
『佐倉ゆとりの里』『隠れ湯 月の渚』『ナチュラルスパ 佐倉天然温泉 藍の湯』
そのどれも私は知らない。
ネット検索しても出てこない。
そんな日帰り温泉は存在しないのだ。
それでもCHAT GPTの回答はご丁寧に、
《訪れる際は、事前に営業時間や料金、アクセス方法などを確認することをおすすめします》
と締めくくっている。
生成AIは詐欺師のように、すました顔をしてウソをつく。
振り込め詐欺に加えて、今度はAI詐欺だ。
年配者にとって、ますます生きにくい時代になったと嘆息である。