言葉と文字の違いは何か。
「残る」と「消える」である。
いまスマホをいじっていて、そんなことを改めて思った。
たとえば1年前、岸田総理に関して、
「決める男に豹変」
という記事が配信されている。
ところが、岸田内閣はいまやボロボロ。
政権維持のために右顧左眄で、「決める男に豹変」という記事を再読して大笑いである。
これは文字として残っているから検証できるわけで、同じことをワイドショーのコメンテーターが言っても、言葉はすぐに雲散霧消。
「そう言ったじゃないか!」
突っこまれても、
「えっ? そんなこと言ったっけ」
頬っかむりできる。
「言葉が足りなかったかな」
そう言ってシラを切ることもできる。
だから、「男の一言金鉄のごとし」と戒めた。
ところが、口舌の徒がメディアにはびこって「論破合戦」になったいま、「一言の軽きこと鴻毛の如し」になってしまった。
論破だ、論戦だと言えば聞こえがいいが、要するに口舌の徒の話法は「もんじゃ焼き論法」なのだ。
つまり、旗色が悪くなれば、もんじゃ焼きのようにグチャグチャと混ぜ返し、
「これも立派な料理です」
と澄ましているようなものなのだ。
おしゃべりを「ペラが回る」という。
語源は諸説あり、「ペラペラしゃべるから」という意味であったり、モーターボートレースのボートのプロペラがよく回るということから来たとも言われる。
いまの時代、意味のないことを、さも意味がありげにしゃべりすぎではないのか。
「沈黙は金」という言葉の真の意味はなにか。
あらめて考えるのだ。