愚妻は昨日入院、今日抗がん剤を投与して夕方退院、明日の午後、白血球の注射を打ちに通院である。
1泊2日1通院が、3週間おきに4セット。
「面倒だから通院はカットして、2泊3日にならんのか」
と愚妻に言ったら、ジロリと睨んでいた。
夕方、退院の迎えに行くと、
「もう、つらいのよ」
と、エレベータから降りてきて第一声。
抗がん剤の副作用はつとに聞くところで、可哀相にと思っていたら、
「頭は締めつけられるし、顎はバンドで痛いし、大変なんだから」
何の話かと思ったら、抜け毛防止のヘッドギアのことだった。
実費を払ってつらい思いをして、何と愚かなことか。
「やめるか?」
「もうちょっと考える」
まだ抜け毛にこだわっているのだ。
今日は晩飯に海鮮チラシを食べていたから、抗がん剤の副作用はさほどでもないということか。
いや、わからない。
かつて釣り船に乗ったとき、愚妻は船酔いでゲーゲーやっておいて、陸に降りたら昼定食をパクパク食べていた。
常識では判断できないのだ。
心配するだけ無駄ではないかという思いが、チラリと脳裏をかすめるのである。