緊急事態宣言の解除である。
テレビニュースの街頭インタビューで、若者が言っている。
「心配っスね。解除、ちょっと早いんじゃないっスか」
それを見ていた愚妻が怒る。
「あのコ、自分が外出しておいて勝手なこと言ってるわね」
ごもっとも。
結局、人間は自分のことであっても、視点が「社会的なこと」になると他人事になってしまうということか。
「世間を気にする」とか「世間に負けた」なんて言うけど、自分もまた他人から見れば「世間」であることに気がつかない。
厄介なものですな。
昨日、所用があって都内でフランス人の女性記者に会った。
用件とは関係ないが、雑談で国民性とか文化論が話題になる。
「個人があって社会がある」と考えるのがフランスなら、「社会があって個人がある」と考えるのが日本人ということで一致。
これはフランスに限らず西洋的な考え方だが、「どっちがいいか」という是非論にならないところに、彼女の見識がある。
こういう人と会うのは楽しいものだ。
これも用件とはまったく関係ないが、拙著『リーダーとは「言葉」である』に興味を惹かれて買ってくださったとか。
ありがたいことだ。
自分では意識していないが、考えてみれば、どこで誰が読んでいるかわからない。
そう思えば気が引き締まる。
緊急事態宣言が解除されたからといって、私の生活は変わるわけではないが、外に出て人に会うと、やはり刺激を受けるのだ。