歳時記

安否確認

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朝のウォーキングは、人がまばらなのだが全員がマスクをかけていた。
自転車に乗っている人もそうだ。

私は玄関を出てマスクを置き忘れたことに気がついたが、引き返すのが面倒なのでそのまま歩き始めた。

私だけマスクをしていないので肩身が狭かった。

帰宅して愚妻にそのことを告げると、
「当たり前でしょ。どうしてマスクしないの」
「忘れて出たのだ」
「どうして忘れるのよ」

不毛の論議だが、逆らうとろくなことがないので、私は黙るばかりである。

私がウォーキングしているあいだに、娘からご機嫌うかがいの電話があったそうだ。
一週間ほどまえ、愚妻が娘に電話で文句を言ったからだろ。

「コロナで大変なんだからね。親が元気かどうか、安否確認の電話くらいしなさいよ」
そんなことを言っていた。

遠隔地に住んでいるならともかく、クルマで5分ほどだ。
文句を言われて娘もさぞかし迷惑だろうが、逆らうとろくなことがないので、形だけ電話してきたのだろう。

「元気にしていると言ったのか?」
「言わなくても元気にしていると思っているわよ」

じゃ、何のために安否確認の電話を強要するのだ。
そう思ったが、私は何も言わなかった。
逆らうと、ろくなことがないのだ。

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