ゴーンさん、国外逃亡ですな。
愚妻が怒っている。
何に怒っているかといえば、ニッサンを食い物にしておいて、ドロンしたことが許せないという。
「ニッサン再生ということで、ゴーンにクビを切られた人がたくさんいるんでしょう? 私がその社員なら怒り心頭よ」
呼び捨てにして怒っている。
ありがたいことに、怒りの矛先が他人に向いているあいだは、私は安泰なのだ。
だから、煽る。
「タンスにゴン、カルロス・ゴン! 悪いやっちゃで!」
「ホントよ、ゴーンは悪い!」
かくして私は、新年2日になっても、ゴーン、ゴーンと除夜の鐘を撞(つ)き続けている。
今年の正月はゴーンさんのおかげで、わが夫婦は、いまのところ円満なのである。