愚妻がリュックに凝っている。
夫婦ですでに4つになった。
勝手に買ってきて、
「ほら、これ便利でしょう」
と、私に押しつけるのだ。
無視するとムクれるので、
「おっ、いいな」
と機嫌を取っておく。
口先だけだと、やはり機嫌が悪くなるので、取りあえず使用してみて、
「おっ、いいな」
と機嫌を取っておく。
1度しか使用しないと、やはり機嫌が悪くなるので、2度、3度と使用して、
「おっ、いいな」
と機嫌を取る。
「でしょ?」
得意顔で鼻をうごめかしている。
私はリュックが嫌いなのだ。
便利だとは思うが、便利だから使用するという功利主義的な発想が嫌いなのである。
だが、愚妻の機嫌を損ねるのは無益なことだ。
私はどうするべきか。
リュック一つに、人生観がかかっているのだ。