歳時記

パワハラと二律背反

投稿日:2018年9月8日 更新日:

スポーツ界のパワハラ問題が止まらない。
指導に熱が入れば入るほど、手を上げたくなる心境は理解できる。

技術的な問題もさることながら、選手が練習で手を抜いていると思ったとき、
「本気でやっているのか!」
思わずピシャリということはあるだろう。

昔はこれを「愛のムチ」と読んだが、時代がそれを認めないのはわかるとしても、一方でメダル至上主義がある。

スポーツ界はもとより、視聴率アップを狙うメディアを先導役として、国民の関心事も勝ち負けにある。
国民栄誉賞は、立派な成績を上げた者だけが授けられるのだ。

こうしたスポーツ環境にあれば、
「本気でやっているのか!」
思わずピシャリということにもなるだろう。

「それは指導法が間違っている」
と言えばそのとおりで、指導法と指導者にとって、いまが過渡期と言うことか。

私の道場は、パワハラどころか、私がイジメの被害に遭っている。

「館長は歳なんだから、じっとしていれば?」
「もう長くないんじゃない?」

男の子はさすがに遠慮しているが、おしゃまな女子生徒は好き勝手なことを言う。

「それはイジメだぞ」
と抗議はするが、どこ吹く風なのである。

叱るのは簡単だし、パワハラによる圧力のかけ方も、私はもちろん承知しているが、空手の稽古に来てまで、鋳型に嵌められるようにして叱られたのでは、子供たちもたまったものではあるまい。

だが、一方で試合もある。
稽古が楽しくても、負けてばかりではやる気も出ないだろう。
メダルは確実に稽古のモチベーションを高める。

そうかと言って、怒声を発することには、私は主義として抵抗がある。
二律背反は世の道理としつつ、このあたりの整合性をどう図るか。
68歳を目前にしながら、いまも頭を悩ますのだ。

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