歳時記

季節の移ろい

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 快晴である。
 トンボが田圃の上を飛んでいる。
 鳥の囀(さえず)りが耳に心地よい。
 そういえば、太陽の昇る方角が、ずいぶん変わってきている。
 季節は確実に、そして足早に移ろっている。
 そんなことを実感しながらの早朝ウォーキングであったが、愚妻は風情とは程遠く、
「顔に日焼け止めを塗らなくちゃ」
 と、極めて現実的なことを口にしていた。
 四季の移ろいに心を遊ばせるということが、どれほど楽しいことか、リアリストにはわかるまい。
 昨日は、四十九日法要(納骨法要)を二ヶ所でお勤めした。
 読経しながらも、
「人は必ず死ぬ」
 という自明の理が、頭ではわかっていても、自分のこととは考えないでいる。
 私こそ、親鸞聖人の言う「悪人」の一人であり、阿弥陀如来が救わんとする、まさに目当てなのである。
 居直りのような気がしないでもないが、そう思うと気分がいい。
 気分がいいと、ウォーキングの足取りも弾む。
 帰宅して、湯船に浸かる。
 実に、気分がいい。
 が、気分がいいのはここまで。
 湯船で今日の予定を頭のなかで反芻すると、
「原稿」
 という二文字が脳裏を行きつ戻りつする。
 そういえば、ゲラの校正もあった。
(こうしてはおれない!)
 あわただしく湯船を飛び出したのである。

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