昨夜、わが家の駄犬「マック爺さん」が死んだ。
トイプードルは長生きをするそうだが、それにしてもマック爺さんは18歳だから、よく生きたと言っていいだろう。
一週間ほど前から食欲がなくなり、足もとがヨロヨロ。
これは長くないな、と思ったので、
「もってあと数日」
と愚妻に言い続けてきた。
マック爺さんが死んだときの悲歎を、少しでもやわらげておいてやろうと思ってのことだが、
「ちょっと、薄情なことを言うわね」
と、愚妻は柳眉を逆立てていた。
昨夜の10時前、道場の仕事部屋で原稿を書いていたら愚妻が電話を掛けてきて、
「マックが動かなくなったんだけど」
と言う。
「息は?」
「してないようだけど・・・」
「死んだな」
「でも、身体は温かいし」
「バカ者。息をしていなければ、それは死んだと言うのだ」
「でも・・・」
気持ちはわかるが、なかなか納得しないので帰宅。
マック爺さんの心臓のあたりに手を当てたり、お腹を撫でてみたり、顔をのぞきこんだりと、医者のマネごとをして見せてから、
「死んだ」
と厳かに宣言したが、
「ホント? ちっとも冷たくならないじゃないの」
と疑念を口にする。
まったく、強情な女なのである。
で、今朝。
愚妻も納得したようで、
「ちょっと、お経をあげてよ」
この私に読経を催促したのは初めてのことで、なるほどペット葬儀も仏縁を結ぶ機会になると改めて感心した次第。
読経が終わり、ペットの火葬場へ。
黒服を着た係の人が、ペット祭壇の前にマック爺さんを入れた棺(?)を安置してから、
「何歳ですか?」
と、愚妻に声をかける。
「18歳です」
「ほう、18歳ですか」
「長生きしてくれました」
「しかし、それにしては若い顔だ」
「そうですか」
「ええ、若いですとも」
まったく何を話しているんだか。
そんなこんなで、慌ただしい一日であった。
駄犬「マック爺さん」の死
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