今朝10時にマッサージを予約してあったので、ひと風呂浴びようとしたところへ、玄関のドアが開く音。
続いて、ドカドカと倒れ込む音。
行ってみると、愚妻がヘタり込んで、
「私、もう死にそう」
と呻(うめ)いている。
「朝っぱらから何をしておる」
「畑に行って来いって、昨日の夜、言ったじゃないの」
「そうだった。すっかり忘れておった」
私がそう言った瞬間、
「ちょっと、今日は3時間よ。草を刈って、もう大変だったんだから」
いきなり元気になった。
拙著にも書いたが、「怒り」はこれほどに生命力を強くするのである。
「じゃ、わしは風呂に入ってからマッサージに行ってくるぞ」
「勝手にして!」
ますます生命力を強くするのであった。
昼食は、愚妻の疲労回復のため、馴染みのウナギ屋へ。
電話しておいて、午後も遅くに行く。
客は私たちだけだし、気の置けない客とあって、店を経営する老夫婦は遠慮なく夫婦ゲンカである。
奥さんが亭主に噛みつき、
「そう思うでしょう?」
と愚妻に相槌(あいずち)を求め、亭主は防戦しつつ、
「そうだよね」
と私に相槌を求め、奥さんと愚妻、亭主と私と、2対2の白熱した舌戦になる。
それにしても老夫婦のバトル。
どこの家庭も、何歳になっても、夫婦ゲンカは永遠に続くということか。
安心したような、うんざりするような、妙な気分になったのだった。
老夫婦のバトル
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