昨日、ふと仏壇を見やると、「線香差し」に立てた線香が短くなっている。
「線香差し」とは、線香を何本が立てて保管するもので、ここから取って火をつけるのだ。
「線香差し」を逆さにして線香を取り出してみると、案の定、折れて短くなっている。
なせ折れたか不明だが、これではいけないと思い、折れたやつは全部取り出し、新しい線香と差し替えた。
自慢するわけではないが、私の線香は結構な値段なのだ。
「線香なんか、煙になるんだから、安いのでいのよ」
と、愚妻はバチ当たりなことを言うが、煙になって消えて行くからこそ、いいものを使うべきなのだ。
これは仏道とは関係なく、男の美学の問題なのだ。
そして、今朝。
またしても「線香立て」の線香が何本も短くなっているではないか。
これには私も考え込んだ。
そこで得た結論は、
「線香は自重に耐えかね、ポキリと折れてしまう」
ということだった。
線香が自らの身体を折るということに、理由もなく感動。
すぐに愚妻を呼びつけ、
「線香立てを見よ。見事に折れているではないか。これは線香が自らの自重に耐えかね・・・」
すると愚妻が私の言葉を遮るように、
「そうなのよね。仏壇に花をあげるとき、手にちょっと当たっただけで折れちゃうのよ」
なんと、犯人は愚妻であったか。
線香が自らの身体を折るという感動は、もちろん煙のごとく消え去っていた。
線香が折れている
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