歳時記

MRIを撮る

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 今日は病院で、頭部のMRIを撮った。
 といっても、調子が悪いわけではない。
 経緯はこうだ。
 先月のこと。
 歩いていて縁石につまずいたり、クルマのドアに頭をぶつけたり、何度かアクシデントがあった。
 それを愚妻が見ていて、
「ちょっと、白内障じゃないの?」
 と言いだしたのである。
「なぜだ」
 と問うと、
「だって私、白内障の手術をするまでは、よくつまずいたり、頭をぶつけたりしたもの」
「バカ者! おまえと一緒にするな」
 一喝すると、愚妻はしばし思案していたが、
「わかった! 頭の血管が詰まりかけているのよ!」
「そんなはずはない」
 と私は厳しくたしなめたのだが、
「脳梗塞の徴候の一つだと、確かテレビで行っていたわ」
 愚妻は思い込んだら一直線。
 夫婦して高血圧の治療を受けているのだが、一緒に診察に行ったおり、主治医に愚妻がまくしたてた。
「先生、主人がこのごろヘンなんですよ。つまづいたり、頭をぶつけたり。そういうことは、これまで絶対にない人ですから、これはきっと頭の血管が・・・・」
 先生も愚妻の迫力に押し切られたのだろう。
「じゃ、MRIを撮ってみましょう」
 ということになった次第。
 愚妻は私の身を案じてくれているのか、あるいは倒れられたら大変とあわてたのか。
 複雑な心境で、MRIに臨んだのである。
 

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